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例会のお知らせ(オンライン)

北海道芸術学会 第41 回例会

■プログラム
[挨拶とお知らせ]13 時00 分〜13 時10 分

[研究発表]13 時10 分〜13 時50 分
「距離(Distance)と眺望(Perspective)―E・ブロウの「距離」概念に関する一試論」
 郡田 尚子 氏(北海学園大学)

[講演]14 時00 分〜15 時00 分
「北海道の博物館・美術館紹介 紋別市立博物館・まちなか芸術館」
 小林 健一 氏(紋別市立博物館・学芸員)

(終了後、オンラインにて懇親会)

研究発表要旨「距離(Distance)と眺望(Perspective)――E・ブロウの「距離」概念に関する一試論」
郡田尚子(北海学園大学)
イギリスの美学者E・ブロウが1912 年に発表した概念”Psychical Distance” (以下「心理的距離」と訳す)の由来については、これまでF・シラーの文芸批評からの影響が論じられてきた。本稿は、より直接的影響関係としてブロウの義理の母であり国際的俳優であったE・ドゥーセの存在があったことを彼女の蔵書目録等から跡付ける。またドゥーセが目を通していたF・ニーチェの著作における”Perspectivism”(「眺望主義」)と「心理的距離」との関連を、ブロウが晩年に”Italian Perspectives” (「イタリア人の眺望」、1934 年刊)という講演にて示した、イタリア人のものの見方(眺望)を明らかにしながら、イギリス人も含め彼らを規定してきた人々の眺望も相対化する在り方から考察する。それにより論者は、個人のみならず共同体の抱える眺望からも距離をとることの可能性をブロウが提示したことを論じる。


展覧会のお知らせ(於:北海道教育大学岩見沢校内 森の岩ギャラリー)

Hello Yubari 新たな想い(vol.1 景色が織りなす温もり)

夕張市美術館は道内で2番目の市立美術館として1979 年に開館し、夕張市が2007 年に財政再建団体に指定後、休館を挟みながらも継続されましたが、積雪で屋根が崩落し2012年にその幕を閉じました。幸運にも収蔵作品は無事で、現在も市内の収蔵庫に保管されています。
 それから十年を経た2022 年、学生たちと収蔵庫前の廊下で収蔵作品を見せていただく機会がありました。それまで眠っていた作品が目を覚まし、一斉に呼吸を始めたかのような存在感で、過去と現在が交わる空間は暖かく、何より充実した時間でした。この体験から、世代と地域を越える美術作品の力、それを守り伝えていく美術館の役割、社会における地域文化教育の必要を実感し、改めて未来を考えていく機会になればと、夕張市教育委員会の協力を得て収蔵作品展と教育プログラムを進めました。
 この企画展シリーズ《Hello Yubari|新たな想い》は、学生たちが残された作品に会いに行き、作者の表現に時間をかけて触れ、かつての炭鉱町に新たに想いを馳せる鑑賞体験から始まります。美術を専門に学ぶ学生たちが夕張の歴史も学びながら、貴重な作品群の中から自分達の視点で作品を選び企画しました。今年は第一弾として「景色が織りなす温もり」と題し、夕張ゆかりの作家3人の風景表現を、油彩画、版画、写真、水彩画、スケッチなど未公開の作品も含めた約50 点で紹介します。
 大学内の「森の岩ギャラリー」という小さな居心地の良い空間で学生たちがお待ちしています。ご高覧いただければ幸いです。

会期: 2023年11月3日(祝)〜12日(日)
休館日 :11月 7日[火]、11月9日[木]
開場:北海道教育大学岩見沢校内 森の岩ギャラリー(岩見沢市緑が丘 2 丁目 34 -1)
開館時間: 10:00〜16:30
料金:無料
問い合わせ先:北海道教育大学アートマネジメント美術研究室(artmanagement.iwamizawa@gmail.com)

>>展覧会リーフレット(PDF)